ダイキサウンド株式会社 代表取締役社長 清川 達也氏 第3回「オープン&シェア」(全4回)
ネットによるビジネスモデルの変革は語るまでもなく、かつ市場としてその存在をどの業界も無視できないが、中でも音楽業界は最もその影響を受けた業界の1つであるといえるだろう。
今回の「次代の会講演ブログ」は、大きく変革した音楽業界の中で1999年に創立され、2004年にはジャスダックへ上場したダイキサウンド株式会社 代表の清川 達也氏に語ってもらった。清川氏は今年2009年5月に同社の代表取締役に就任したばかり。業界全体の変革期のなかでインディーズ(独立系の)レーベルと連携した流通システム事業の他、音楽配信などを展開している同社の舵をどう切っていくのか。清川氏の半生と併せて追ってみたいと思う。

ダイキサウンド株式会社 代表取締役社長 清川達也氏
第3回「オープン&シェア」
業績が悪化していたにも関わらず、清川がそこで働く従業員の「目」の輝きに気持ちを動かされ、ダイキサウンドの代表の座に就くことになる。今年の5月に就任した清川は、経営刷新の為に必要だと定義し、心がけていることがあるという。
気持ちだけで組織は動かない。経営者としての彼の言葉を追ってみたい。
「経営のリニューアルに関して心がけていることがいくつかあります。
まずは『腹を決める』ということですね。やると決めたのだから、他人がなにを言おうと、自分の中に不安があろうと関係ないと。無我夢中になると決意しています。
次に重要なのは『スピード』です。これはどこの会社も一緒だと思いますが、私も常に意識して最優先させています。このような時期には、いろいろなかたちで『人間の本性』のようなものが出てくるのだと感じました。声を荒げたり、やたらかしこまって防御したり。
もちろんリニューアルを断行するうえで個人的に感情が先行しそうになったりすることもありますが、『腹を決めた』ことを思い出して前にすすめます。この状況において躊躇しているわけにはいかないと。
自分にも『スピード、スピード』と言い聞かせながら、まさに無我夢中で行動しました。
人選の基準に関しては、私が着任したばかりなので、以前から在籍している周囲のスタッフの評価も参考にしました。私が知りたかったのは『俯瞰して見ることができる人かどうか』ということでした。物の見方が近視眼に偏っていると、その人は一生懸命やっているように見えても、チームとして結果を出すことができないことが多いと思っています。」
清川が行った希望退職者の募集によって、8月までに同社の社員数は約半分になった。払わなくてはならない犠牲に対して直面しなければならなかった清川は、まず自らの精神的な部分にしっかりとした楔を打ち込んだのだ。
しかしそれで何かが終わるわけではない。残ったメンバーと同社をどう立て直すか、それこそがまさに清川の経営者としての手腕が問われてくるところであろう。
「今後の方針に関して何かを決めたとしても、それだけでは経営リニューアルいうことには全く不十分でして、残ったメンバーと共に現場でどう行動していくか、それこそがまさに重要だと思っています。そういった意味においては今までの習慣を変えるということを意識し、新しく『オープン&シェア』というコンセプトを打ち出しました。マネジメントがうまく機能していない従来のスタイルでは、すべてが個人まかせで、結果を叱ることはあっても、過程つまり業務プロセスの改革はよっぽどのことがないと実行されませんでした。現場の真ん中に私の机を置き、情報交換を自ら行うことでまず血のめぐりをよくすることにしました。習慣化を命じたのは『週報』と『定例ミーティング』です。定例ミーティングが『ただの報告会』にならないように、報告事項は全て週報でまとめるように指示しています。
また、ホワイトボードやプロジェクターを活用し、紙を使用せずに全ての目線をこちらに集中させるようにしています。私はホワイトボードを使うのが昔から好きで家にも欲しいと妻に言っています(笑)。
写真やその他の情報を共有するのにもグループウェアやグーグルの文書、写真共有機能を利用していつでもチームメンバーが閲覧、編集できるようにしています。
すべてが『オープン&シェア』を実践する為の具体的な手法で、社員が仕事を行ううえでの『習慣を変える』ことを意識してもらうところから取り組んでいるわけです。」
「オープン&シェア」。開かれた環境で互いの情報を共有するというスローガンを実施するのは、簡単そうに見えてそれほど容易ではない。従来の環境下で仕事を続けてきた習慣を打破する為には社員の意識から変えていかなくてはならないからだ。清川はダイキサウンド再生に向けて自ら打ち出したスローガンをコアに、今まさに経営リニューアルに取り組もうとしている。
次代の会 柳澤 史樹
(最終回へつづく)
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