ダイキサウンド株式会社 代表取締役社長 清川達也氏 最終回「生かされているという思いを胸に」(全4回)

By admin • 12月 11th, 2009

ネットによるビジネスモデルの変革は語るまでもなく、かつ市場としてその存在をどの業界も無視できないが、中でも音楽業界は最もその影響を受けた業界の1つであるといえるだろう。
今回の「次代の会講演ブログ」は、大きく変革した音楽業界の中で1999年に創立され、2004年にはジャスダックへ上場したダイキサウンド株式会社 代表の清川 達也氏に語ってもらった。清川氏は今年2009年5月に同社の代表取締役に就任したばかり。業界全体の変革期のなかでインディーズ(独立系の)レーベルと連携した流通システム事業の他、音楽配信などを展開している同社の舵をどう切っていくのか。清川氏の半生と併せて追ってみたいと思う。

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ダイキサウンド株式会社 代表取締役社長 清川達也氏

最終回「生かされているという思いを胸に」
「オープン&シェア」をスローガンに、ダイキサウンドの経営リニューアルに取り組み始めた清川。そんな彼も、次代の会で過去講演してくれた多くの経営者同様に、経営者としての器を大きくする出来事に遭遇していた。そしてそれはほとんどの場合「試練」というかたちでその身に起こることが多い。

「今までの人生を思い返す意味でトピックを書き連ねてみると、良いこと、悪いことがそれぞれ交互に同じくらいの回数で起こっているのです。それを見ると、『人生はイーブン』という思いを強くします。」

そのエピソードには転職から失業、起業、子育てなどがあるわけだが、その中でも清川の人生に大きな転機となったのが、突然の病気による入院経験だったという。

「あれはまさにVIBEを創業するための設立準備をしている頃でした。金曜日の夜仕事を終えて帰ってくると何だか胸の真ん中あたりが痛むのです。その後日曜日の朝になりまだ痛むので再度病院にいって検査したところそのまま集中治療室へ直行することになりました。

幸いその病気は自然治癒する可能性もあるということで、様子を見るために与えられたのはバファリンと胃薬だけでした(笑)。一般病棟に移ったところで、図に乗ってパソコンを持ち込んで仕事をしていたら看護婦長さんに呼び出されて叱られたりして。そのまま自然治癒し、退院できてよかったのですが、最初は(担当の医師から)死に至る確率を具体的に宣告されました。そのとき自分の『死』を現実のものとして強く意識したわけです。」

「死」と「創業」の最中で清川は何を感じたのだろうか。

「不思議と落ち着いていました。会社を立ち上げることはできた、いままでの人生やることはやったという思いが一瞬にして頭を巡りました。そして退院した後『生かされている』という思いとともに、人との関わり方や仕事への意識も変わったように思います。もしこの経験がなかったら、もっと傲慢な人間のままでいろんなことがうまくいっていなかったと思います。

会社という存在に対する想いも変わりました。創業した思い入れはもちろんありますが『会社は私物ではない』ということを認識するようになりました。その後子育てを機に社長を辞めるときにも、みんなの力でいままでもこれからも会社は続いていくと感じていたので、あまり悩むことはなかったと思います。

さらに言えば『生かされている』自分が再度ゼロになって、どこまでやれるのかと自分を試したくなったのだと思います。事業企画書を作って、かつての部下を集めてプレゼン、ダメ出しをもらうなんてこともやりました。」

経営者としての清川の大きな転機は、まさに死を意識することから始まった。そのような経験をした人間の精神的な強さは推して知るべしといえるだろう。
最後にそんな彼が今まさに取り組もうとしているダイキサウンドのこれからについて聞いてみた。

「経営リニューアルとしては、コスト削減以外に新たなことをはじめる準備もしています。それらを今順次展開していく予定です。

まず第一弾として当社主催ライヴをやります。「Daiki Sound Live『ONE BLOOD』」と称して、12月26日(土)に渋谷O-EASTで開催します。HIPHOPとREGGAEという2つのジャンルからメジャー、インディーズ問わず日本を代表するアーティスト13組が集合する大掛かりなイヴェントです。年末なので『紅白歌合戦』のイメージですね。ライヴはアーティストの表現手段として、最高のかたちのひとつだと思っています。主力事業であるCD、DVDの流通やデジタル配信に注力しつつ、アーティストやレーベル様の活動を支援するしくみを用意していきたいと考えています。」

不要なこだわりを捨て、あくまでもアーティストの作品を最高のかたちで伝え、それをビジネスとして成功させることに注力したいと語る清川。それは心から音楽を愛し、かつビジネスマインドをも持ち合わせた彼のような人間だからこそ可能な仕事である。

清川はそのバランス感覚と「生かされている」という想いを胸に、ダイキサウンドのこれからを支えていくことだろう。同社のこれからの展開を、期待をもって見守る必要がありそうだ。

(了)

次代の会 柳澤 史樹

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