アルファグループ株式会社 代表取締役社長 上 岳史氏 第2回「盛和塾との出会い」 (全4回)

By fumiki.yanagisawa@jidainokai.jp • 3月 7th, 2010

企業活動を行う上での生命線は業界・時代を問わずに「営業力」であることはいわずもがなである。その形式はさまざまであるが、モバイル事業、オフィスサプライ事業、ウェブマーケティング事業、人材事業などの「営業」に特化した事業展開で、日本初の「営業商社」を目指すアルファグループ。
今回の次代の会 講演ブログは、大学在学中の1994年にグループの前身となる株式会社プラスアルファを設立し、その後事業拡大とともに組織改変をしながらアルファグループ株式会社を設立、2004年には同社をJASDAQ市場へ上場させ、現在に至るまでに関連会社含め4社のホールディング制をとりながら成長を続けている同社の代表取締役社長 上 岳史氏の軌跡を辿ってみたいと思う。

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アルファグループ株式会社 代表取締役社長 上 岳史氏

第2回「盛和塾との出会い」
高校生時代、理想の「カッコいい」大学生になるため高校を中退し、アメリカに留学した上氏。その後、大学在学中の目標として定めた「起業」を実現し、2004年にはJASDAQで上場を果たすまでになる。「カッコよさ」にこだわりながら、自らのゴールを明確に定め、その実現のために最大限の努力を続けて結果を出してきた氏はどのようにそのロードマップをひき、歩んできたのだろうか。その過程でどのようなきっかけ、変遷があったのだろうか。

「皆さん同じではないかと思いますが、上昇志向の塊、野心を抱いて起業したあと3年目までは給料15万、殆ど寝ずに仕事に取り組む生活でした。当時たまたま携帯電話という商材に出会ったことで事業が順調に推移し、4年目には月に1,000万円くらいの黒字を出せるようになったのです。そこで生意気にも中古ではありますがベンツに乗ったり、ロレックスをつけて銀座などに行くような遊びを始めてしまったわけですね。

しかし銀座で高いお酒を飲んでいてもどうも面白くないんです。飲んでいて「何のために仕事をしてたんだっけ?」と。起業して働いてきた意味を見失ってしまったんですね。ある程度成功したそのステージでは、自分がご飯を食べていくには困りません。しかし、従業員はどうでしょう。
自分が夜9時くらいに飲んでいても従業員は働いてくれています。彼らは私の後輩で、非常に地頭(じあたま)のいい子達ばかりです。弊社が大きく成長した理由の一つに、こうした優秀な人材が骨身を惜しまず頑張ってくれたことがあります。そんな彼らが将来を不安に感じているかもしれない、と気づいた。彼らを食わせていかねばならないのに、私がこんなことをしている場合ではない、今のままではまずい、と我に返ることができました。

それから模索する日々が始まりました。経営の神様といわれる松下幸之助翁の本を読み漁ったのですが、目から鱗の連続だった。私が考えていることと全く逆のことが書かれているのです。その内容に強い衝撃を受けて、まずはマインドを実践してみようと思ったのですが、人間、いきなり逆のことはなかなか実践できません。

そんな時に知人から『稲盛和夫さん(京セラ、KDDI創業者)の著書【成功への情熱】がいいよ』と教えてもらった。読んでみたら非常に面白い。稲盛さんは松下翁と違って今でもご健在ですから、会ってみたいと思って調べると、『盛和塾』という若手経営者が学ぶ会があるという。そこで、入塾することにしました。」

氏曰く、会社が順調になった時期はある意味「天狗」になってしまったが、幸い自分を客観的に見つめるきっかけがあった。そのとき感じた違和感から抜け出したいと思い、本を通じて稲盛和夫氏の主催する盛和塾に出会ったのが転換点だったという。そこでこの盛和塾について語ってもらった。

「当時は今と違って入塾の審査がとても厳しかったですね。面接は、上場企業の社長さん相手に経営に関する理念や哲学を語る、といった内容でした。塾生(会員)はみなさん、とても真面目。経営者としてのマインドをしっかり持っていない人は、入塾しても違和感を感じてしまうかもしれません。全国各地で約5,000名の塾生がおり、具体的な活動内容は、地域ごとに開催されている月例会議や勉強会への出席です。月1回は稲盛塾長もお見えになり、時には全国会議や、年間表彰などもあります。非常にいい『気』をもった人が集まる会ですね。」

この盛和塾は、もとは京都の若手経営者が京セラ㈱の稲盛名誉会長から人生哲学、経営哲学を学ぼうと始まった自主勉強会がその発端だそうだ。現在日本全国のみならず、ブラジルやアメリカなど海外にもその塾生を擁する大きな組織となっている。大学時代に起業し成功を収めたものの、真の経営者としてのマインドを得るためにさらに一段高いステージを自ら見つけて飛び込んだのが、この盛和塾であったという。氏が経営者として多くを学ぶ盛和塾。入会を社員に勧めたり、興味をもって参加したいというような従業員はいるのだろうか。

「昔は勧めていましたが今はしていませんね。私は、経営者と従業員という、それぞれ別の職業についていると思っていますし、求める役割を明確に分けて捉えています。彼ら従業員に対しては経営者というマインドを持ってもらう必要はないですし、ましてや彼らが私のプレッシャーを感じる必要性は全くないと思います。」

自らが実践した盛和塾での経験を従業員と共有するか、という質問に対し、非常に明確な答を氏はもっていた。経営者と従業員はそれぞれ全く別の職業であり、それを無理に共有する必要性は全くないという。まさに経営者としての氏のスタンスが非常に色濃く反映されているという印象を強く受けた。

実はそんな氏が経営者として率いる同社は、昨年まで二人の代表による経営体制を敷いていた。明確な経営哲学をもつ二人の代表制は、同社の経営にどのような影響を与えていたのだろうか。
次回は昨年まで同社が導入していた「二人代表制」と、土日を全て費やして取得したという「MBA資格」に関しても触れ、氏の経営者としての輪郭をさらにはっきりと映し出してみたい。

(第3回に続く)
敬称略 取材・執筆 柳澤史樹

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