アルファグループ株式会社 代表取締役社長 上岳史氏 最終回「日本一の会社を目指して」(全4回)

By fumiki.yanagisawa@jidainokai.jp • 3月 23rd, 2010

企業活動を行う上での生命線は業界・時代を問わずに、「営業力」であることはいわずもがなである。その形態はさまざまであるが、モバイル事業、オフィスサプライ事業、ウェブマーケティング事業、人材事業などの「営業」に特化した事業展開で、日本初の「営業商社」を目指すアルファグループ。
今回の次代の会 講演ブログは、大学在学中の1994年にグループの前身となる株式会社プラスアルファを設立し、その後事業拡大とともに組織改変をしながらアルファグループ株式会社を設立、2004年には同社をJASDAQ市場へ上場させ、現在に至るまでに関連会社含め4社のホールディング制をとりながら成長を続けている同社の代表取締役社長 上 岳史氏の軌跡を辿ってみたいと思う。

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アルファグループ株式会社 代表取締役社長 上岳史氏

最終回「日本一楽しい会社を目指して」
大学在学中に起こした企業が上場を達成、更なる成長へと事業・組織の拡大を図りながら、経営者としての成長を求め盛和塾に入塾し、ビジネスへの理解を深めるために休日をMBA取得へ充てるなど、自らのコンプレックスを糧に企業人の道を歩んできたと語る上氏。講演ブログ最終回は、そんな氏が実践していること、経営に対する想いなどを語ってもらった。
氏は昨年夏、任意参加を募って実施する「週末社員ツアー」を自費でスタートさせたのだという。

「昨年4月辺りだったと思います。夜、ふと『なぜ私は仕事をやっているのだろう』と考えました。その時に『少ない仲間で仕事をしていたときは楽しかったなあ』と思ってしまったのです。そもそも起業した際『日本一楽しい会社をつくろう』と考えていたはずなのに、今、その想いを全く実現できていないことに気がついた。

今の私が置かれた状況を見つめなおすと、社員との距離は以前と比べてはるかに広がってしまっていました。私は壁に囲まれた社長室にいて、閉ざされたドアを気軽にノックして入ってこれる環境ではない。ここ1~2年は事業や組織についてシビアに決断、実行しなくてはならなかった。そんな中で社員が疑心暗鬼になりがちなのは当然でしょうし、私の想いを伝えられていないということも感じたのですね。
そこで何か手はないだろうかと考えた末、学生時代にアルバイト兼サークルで企画していた、合宿体験の楽しさを思い出した。ああいう場なら社長という看板を下ろして、社員と近い距離で触れ合う機会を作れるんじゃないか、と思ったのですね。

当時の経験からコストは容易に想定できましたし、かかった費用以上の成果をあげられる自信もあります。しかし会社のお金で実施してしまうと、『社長、これは遊びじゃないですか?』と突っ込まれるのが落ちです。日ごろ業績や経費について引き締めるよう厳しく言い続けていましたから。ですから、自費で行おうと。毎月1回、7名の社員と行くツアーをはじめました。私が運転する車で温泉に行って、皆で食事したりゲームに興じたり。お酒を片手に当社の企業理念について語り合ったりしながら、交流を深めています。」

また、氏が自ら実践しているイベントの中に「断食ツアー」もあるとお聞きした。どんな思いで断食に取り組むことになったのだろうか。

「とてもシンプルなことが理由です。昨年7月から一人代表制に移行することが決まった時、自分の腹を決めたいと思った。何か行動で表したいと調べていたところ、断食というキーワードがひっかかったのです。極限の状態に自らを追い込むことと腹を決めることがリンクしたのでしょうか。パソナキャリアの渡辺さんと、前後の食事制限が1ヶ月、ツアー当日は5日間湧き水だけで過ごす、というものに参加したのですが、この経験は非常に良かった。
体と心がリセットされ、軽やかになって健康にもいい。なにより、自然と様々なことに対する感謝の念が生まれてきました。言葉でいうのはとても難しくて、経験した人でないと分かりにくい感覚かもしれませんね。一連のプログラムを通じて、自然や太陽の恵み、大気に流れる気を感じることができたように思います。

実は当時、第1子となる息子が生まれるか生まれないかという時期。妻は大変な時だったのですが、『俺にとってもこの断食はとても大切なんだ』と説得しまして、断固実行しました(笑)。
今年は5人ほどの社員と共に行く予定です。誘いの声をかけると人によって反応が違いますが、前向きな反応をする人は現状を何とかして変えたい、と思っているようですね。

このツアーはキャンプ場を借りて行われるので、近くにいる家族連れが焼いているバーベキューの匂いが漂ってきたり、早朝から集団でヨガをやったりして宗教家に間違えられたり、なかなか厳しい環境におかれます (笑)。けれど、こんな機会がないと心身をリセットしたり己の内面と対峙することは難しいと思いますので、取り組まれることをお勧めしますね。」

遊びを通じて社員と触れ合うツアーを自らスタートさせるかたわら、経営者として己を律する術に「断食ツアー」を選ぶなど、氏の「行動にメリハリをもたせる」という規範が如実に表れたいい例だと思う。この切り替えが同社を成功に導いた大きな理由の一つと感じる。

最後に、経営についての想いと次代の会の参加者に対するエールをもって、今回の講演をしめてもらうことにしよう。

「ベンチャーである当社の実態は中小零細に過ぎず、10年後に会社は存在していないかもしれません。私がそうだったように、社員もベンチャー企業の社員である、というコンプレックスを感じていることもあるでしょう。だからこそ、今頑張っている彼らが10年後、20年後も市場価値のある人材として、どんな企業でも通用するスキルを持った専門性やマネジメント能力をつけてあげたい、と思っています。

私の今後の夢は、経営者という立場からベンチャー企業の地位向上に貢献したい、そして将来的にベンチャー事業への投資が実現できたらいいなと思っています。ここに集まってくださった経営者の方々にも、ベンチャー企業の地位向上を目指して一緒に頑張ってほしいと思います。」

同社の継続的な発展もさることながら、社員の成長をサポートしていくこと、そしてベンチャー企業の地位向上への貢献が氏の次なる目標のようだ。人を大切にするベンチャーという理想を追求するためにまい進する同社に、内外からの大きな期待が集まっていることは間違いない。

(了)
敬称略 取材・執筆 柳澤史樹

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