SIP株式会社 代表取締役社長 (元株式会社デジタルガレージCOO) 齋藤茂樹氏 第2回「アメリカへの挑戦 MIT時代」(全4回)

By fumiki.yanagisawa@jidainokai.jp • 4月 30th, 2010

「現代の産業革命」とも称されるインターネットの隆盛。その誕生に立ち会い、黎明期を支え、そして成長への道筋を作ってきた立役者がいる。
今回の次代の会 講演ブログは、NTT民営化の第1期生として入社、その後日本市場で数々の大規模インターネットソリューションの事業化展開を行い、現在は次代を支えるベンチャーを支援するベンチャーキャピタル「SIP株式会社」の代表取締役社長CEO 齋藤茂樹氏の軌跡を辿ってみたい。

IMG_1985

SIP株式会社代表取締役社長 齋藤茂樹氏

第2回「アメリカへの挑戦 MIT時代」
1985年民営化されたNTT(旧電電公社)に入社、日本のデジタルイノベーションを推進するというビジョンを胸に10年のキャリアを積んできた斎藤氏は、氏いわく「人生の中で最大のイベント」というインターネットの隆盛をきっかけに、ベンチャーへの転身という新たな挑戦を決意。
その1st STEPとして氏はITテクノロジーの最高学府の一つ、マサチューセッツ工科大学(MIT)の留学を決意することとなる。時代の細胞分裂の先端ともいえるインターネットベンチャーへの氏のチャレンジはこうして始まった。

「NTTを退社後、いろいろな会社を回ってみたのですがまだあまり機が熟してない印象を受けました。そこでインターネットベンチャーの世界を極めるということはどういうことか、と考えた末に『シリコンバレーの連中と渡り合うような仕事をするのだ、その為にはまず留学をしてそこから殴りこんでしまえ』というような強引な発想で留学を決めたのです(笑)。

そこで1年間失業保険で生活しながらMITに入る勉強を始めましたが当時私は34歳、子供も二人目が生まれたばかりのような状況でして、しかも英語がそれほど得意でなかった為、なかなか点数も上がらず学校が決まらず苦労しました。
しかしそんな私を留学予備校の先生が応援してくれまして『ちょうどMITのディレクターが来日していて、君の話をしたところ大変興味をもっていたようだから、ぜひ会いに行ってみなさい』といってくれたんですね。

そこで忘れもしない1994年3月1日、雪の降る日にホテル西洋銀座に朝から出向きました。
エレベーターの前でそのディレクターを待ち伏せし『時間をください』と直談判したところ『君に20分あげよう』と。そこで脇の喫茶コーナーでインターネットベンチャーにかける想いと共に『自分を採ってくれないと日本は変わらない』と熱意をもってプレゼンし、それによって受かることができたと思っています。

NTTを辞めた瞬間、それまでNTTの看板を背負っていた自分からよそよそしく離れていく人、前にもまして応援してくれる人が微妙にみえるのを実感していました。
そんな中、自分の考えるベンチャーに対するビジョンをパッションをもって人に伝えて作っていくことを最初に認めてくれ、チャンスを与えてくれたという意味で私は本当にMITに恩義を感じていまして、今でもMITの日本でのインキュベーション(起業支援)のNPOの理事を10年間、やらせてもらっているのです。」

妻子をもちながらNTTというエリートの座を捨て、新たなイノベーションの中に飛び込むべく留学を目指した氏の熱い思いが、MITのディレクターに伝わったことで氏の人生は大きな転換期を迎えることになる。ビジョンや想いが人の運命をかえることを実証するエピソードである。
さて、MITへの切符を手に入れた齋藤氏のその後を追ってみよう。

「MITのあるボストンはMITを中心にさまざまなハイテクベンチャーでの経験を積んだり、シリコンバレーで行ったハイテクインベストメントバンクでのサマージョブの経験を通じ、インターネットがシリコンバレーの環境の中で起業家、ベンチャーキャピタル、投資家、大手企業、海外企業がどう有機的に生態システムとしてどう繋がっているかがよく見えました。

『日本のイノベーションシステムをグローバルに繋げて作りあげたい』ということが私のミッションで、それを日本で実現するために日本のミッシングピース、足りない要素は何かということを常に考え続けています。私のミッションは、国籍問わず古い友人から『94年以来から1ミリもブレてないね』といわれます。」

MITでの経験を経た後、いよいよ実戦としてのキャリアを積むべく発進しはじめた氏は、まさに日本のインターネット・イノベーションを牽引すべく帰国するのだが、本人いわく「泣く泣く」の帰国からのスタートだったという。またおもしろいエピソードが聞けそうだ。
次回は氏のMIT卒業後のキャリアパス、日本のインターネット・イノベーションの軌跡を追いかけてみたい。 

エス・アイ・ピー株式会社 URL:  http://www.sip-vc.com/

(第3回に続く)
敬称略 取材・執筆 柳澤史樹

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