株式会社ガイアックス 代表執行役社長 上田祐司氏 第3回「社会公器というミッション」(全4回)

By fumiki.yanagisawa@jidainokai.jp • 6月 5th, 2010

ウェブサイトの機能として、ブログと並び定着、主流を成しているといっても過言ではないコミュニティ機能。特にウェブ上で人と「繋がる」という体験が、現在人のコミュニケーションにおいて与えた影響の大きさは計り知れない。今回の次代の会 講演ブログは、ウェブコミュニティ開発大手で、名証セントレックスに上場している株式会社ガイアックス代表執行役社長 上田祐司氏にご登壇頂き、その起業からの軌跡を語って頂いた。

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株式会社ガイアックス 代表執行役社長 上田祐司氏

第3回「社会公器というミッション」

起業家として何もない状態からガイアックスを創業し、メンバー、投資家、提携会社などを一気に集め、上場めざして邁進し始めた上田氏ではあったが、上場するまでの過程では投資家、いわゆるベンチャーキャピタルとのやり取りにはいろいろな苦労もあったようだ。その中で氏は、「黒字でなければ上場ができない」という現行制度に対して異を唱えている。それは氏の経営哲学からくるものだった。

「私の持論として、会社はやはり『社会』に必要とされるサービスをするものであるべきだ、と考えています。例えば、川があって、そこと通る人々が橋を造ろうと決めたとします。であればその橋を造るうえで必要な初期投資とそのリターンをどうするか、ということを考えれば『この会社はだれのものか』という議論が出てくるかと思いますが、私はそれは正直なところ重要ではなく『この会社は橋を造るために存在するのだ』という会社としてのミッション、もしくはビジョンのほうが重要だと思うわけです。そう考えると、ガイアックス自身も社会に必要なサービスを提供している以上、社会の人々が会社を所有するべきですし、結果として上場すること自体当然だし、フェアだと思うのです。」

「会社は社会公器であるべき」という考えは以前この会でご講演頂いた㈱ディーバの森川社長の言葉とも共通する。このような経営哲学をもった上場企業の経営者は実際どれくらい存在するものなのだろうか。そのような考えのもと、氏は同社の経営体制としてガバナンスに注力していると語る。

 「創業直後から経営陣に社外の監査役に入ってもらっていました。前回述べた「プロキシーファイト」の件なども含め、経験のある社外の役員方に入ってもらっていたことは非常に助かりました。また、現在同社は『委員会設置会社』という体制で運営しており、私の役職は『代表取締役』ではなく『代表執行役』なんですね。経営を執行するチームの代表、というものですね。

取締役会は執行チームを監査するという役割を負っており、指名委員会、方針委員会、監査委員会という3つの委員会の6~7割が社外の人間で、委員会が執行チームを任命するという体制です。独立系でこんな自分の首を絞めるような制度を導入している会社は日本でも同社含め数社しかないかと思うのですが、一株主としても私から見てもこのほうが望ましいと思うのです。ビジョンやミッションが会社の存在意義であると考えている以上、もし私の株主比率が80~90%だとしたら、いろんなこともいいにくい部分もありますよね。

よく委員会制度は大企業向けの制度だと思っている人も多いですが、私としては特に上場を目指すベンチャーにとってこの制度のほうがすっきりしますし、スピードも上がるという意味でフィットしていると思います。

その他にも監査役制度や社外取締役制度などありますが、経営陣の人事などを協議・議決するというようなことならともかく、例えば1000万の借入をするといったような社内の詳しいことを分からない人が、責任の発生するようなことを要求も決定もできないですよね。」

 社外の人間による委員会制度のもと、自らは「代表執行役員」という立場におき、同社の舵を取る氏だが、経営者として自らを律し、戒めるためにという悲壮感のようなものを感じない。それは「会社は社会のものであるべきだ」という氏の考えをしっかりと確立しているからであろう。では実際の同社の経営指標的な部分はどうなのか。

 「2005年売上14億円で上場後、現在売上は約28億円です。上場後に赤字を出した後、2007年ごろから持ち直してきましたが、トータル的には満足できていません。株価は低迷中で大変申し訳ないと思いますが、2009年にTOBで自社株買いをしたり、2010年は記念配当を瞬間風速ではトップクラス配当利回りの25%程度の水準で出したり、と手を打っています。

あくまでも社会的に必要だと支援してくれている方々の為にも、大きく動くときには動く必要があると思っており、その意味では現在の低迷している株価、そしてその上下動に関していえば、私達としては大きく動くべきであると感じています。それに比べて普通の会社は、あまり動きがアグレッシブではないと感じています。例えて言うなら『年収500万円の人が50万円程度を使って投資をしている』そんな状況でしょうか。

今回は会社の経営に対して、制度の部分と財務の部分の両方からお話させて頂きましたが、私達が理論的にこうあるべきだ、こうしたほうがいい、というところが一般的にあまり浸透していないところを考えると、何故なんだろうか、と考えることが多々あるのです。」

次代の経営者としての新しい姿を氏は自分の中に明確に持っている。そしてその中に流れる経営哲学はあくまでもフェアである。

では同社を支えるスタッフに対してはどのような舵とりをしているのだろうか。最終回は氏の人材開発術に関して触れてみたいと思う。

 

(最終回に続く)

敬称略 取材・執筆 柳澤史樹

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