特別講座 わかすぎファミリークリニック院長 若杉慎司先生 最終回「肺炎と飲酒について」(全4回)

By fumiki.yanagisawa@jidainokai.jp • 7月 24th, 2010

健康であることは、経営者であるなしに関わらず重要なのは言うまでもない。
しかし、重要性を理解しているにも関わらず忙しいなどの理由で、特定検診、がん健診の受診率は4割を切っておりリスクヘッジが行動に至っていないのが現実ではないだろうか。
今回の次代の会は、特別講座として「健康」をテーマに、現役の医師に語って頂く企画を初めて展開した。がん治療の最前線で戦い、現在は「わかすぎファミリークリニック」院長として年間2000例近くの健康診断、人間ドックを担当している医師 若杉慎司先生に、健康な社会生活を送る秘訣を具体的に教えて頂こうと思う。

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わかすぎファミリークリニック院長 若杉慎司先生

 最終回「肺炎と飲酒について」
年間100万人を数える病死者の中で「がん」「血管性疾患」で6割の方が亡くなっており、その予防と早期発見の為に定期的な検診の必要性と重要性を説いたが、その次に死者数の多い病気は「肺炎」だという。
今日はその肺炎の予防と、その他健康を保つためのさまざまな秘訣を先生にお話し頂こうと思う。

 ★肺炎の原因と傾向

「高齢化に伴って肺炎の死亡者数はここ数年で上昇傾向にあります。特に高年齢者、65歳以上になると急速に増加します。
肺炎になる原因とされているのは、80種類以上もある肺炎球菌を吸いこむことが原因になるといわれています。高齢者の肺炎が多いのは、免疫力が弱まっていることが理由です。その他に口の中に残った食べ物のカスが腐って雑菌が繁殖し、それが原因で歯周病になり、そこから血液内にその菌が入り込んでしまうことで肺炎を引き起こすことがあるとされています。
その為に、若いうちから3回の毎食事後に歯磨きを行う習慣を身につけることをお勧めします。特に歯周病を防ぐために歯間ブラシを併用してこまめに歯をきれいにしておくことで、細菌の繁殖を防ぐことができます。
また、高齢者の方に対してはその肺炎を防ぐ『ニューモバックス』という肺炎球菌ワクチンがあります。自費治療で8,000円ほどかかりますが、これは一度受けると5年以上の間肺炎の発症を抑制できます。ぜひ皆さんのご両親におススメして頂きたいですね。」

 高齢者の方の死因として多いという肺炎だが、気になるのは40代以上の80%がなっているといわれる歯周病が肺炎の原因の一つであるということ。常に口の中を常に清潔にしておくことが、肺炎になることを防ぐことができるということであれば、おざなりになりがちな歯磨きも変わってくるのではないか。

 ★飲酒について

さて、引き続き健康を保つ秘訣として留意しなくてはならない「飲酒」に関してお話し頂いた。ここは経営者としても非常に気になるところではないだろうか。よく「百薬の長」といわれるが実際はどうなのだろうか。

 「高度成長以前の栄養失調気味だった頃には飲酒は適量であれば健康によいとされていました。しかし、現代人はとにかく酒量が多いので、もはや百薬の長ではなくなってしまいました。飲酒をされる方できれば週2、3回は休肝日を設けて頂くのが望ましいです。

大腸がんに関していえば、日本人の場合1日のアルコール摂取量が45グラム以上(日本酒2合)飲まれる方は、飲まない方の2倍以上大腸がんになりやすいというデータが出ています。今後男性の場合、大腸がんが死因の1番になるといわれている昨今、これは非常に留意すべき事項です。また、飲酒の影響として食欲が出てしまう―これは一時的に低血糖になって飢餓状態になってしまう為です。そのため飲んだ後のラーメンがおいしいわけですが、当然メタボを呼ぶ原因になりますね。

 さらにお酒を飲むとタバコを吸われる方はどうしてもより多く吸いたくなるものです。飲酒と喫煙が多くなると食道がんのリスクが非常に大きくなります。最近の例としては藤田まことさんや岡田真澄さんが挙げられます。食道がんの手術は通常7、8人の外科医で10時間もの時間を費やすのですが、それでも半分は助からないケースが多いのです。悪性度の高いがんといえます。ただ適量であればお酒はHDL(善玉コレステロール)を増やしてくれるので、ぜひそれを守って、楽しくお酒と付き合って頂きたいですね。」

 酒量も適量をキープすることが健康にとってよいことが科学的な根拠のもとに立証されている。私自身はそれほど飲むくちではないが「百薬の長」に象徴される酒豪には都合のよさそうな解釈はもろくも崩れ去ってしまった。

 さて、先生がお話しされる健康に関するセミナーを4回に分けてお送りさせて頂いたが、先生の場合は科学的な根拠、臨床結果に基づいたデータを、さらに生活の場にブレイクダウンしてお話ししてくれるので非常にイメージしやすかったという印象を受けた。自らはもちろんのこと、社員も含め会社の健康管理をどのように考えるかということは、次代の経営者に求められる必須条件であるといっても過言ではないのではないだろうか。講座に集まって積極的な質問を繰り返す参加者の皆さんの真剣な顔つきを見てそんなことを感じた。

(了)

敬称略 取材・執筆 柳澤史樹

わかすぎファミリークリニック
公式サイト URL:  http://www.clinita.com/
人間ドック専用サイト URL:http://www.e-dock.jp/
若杉先生によるブログ「人間ドックのなるほど活用術」 http://wakasugi.weblogs.jp/

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