元株式会社タカラ 代表取締役社長 佐藤博久氏 第2回「最新Eコマースの実例1. 23歳女性が立ち上げた女性向け下着・水着サイト」(全4回)
今回次代の会へご登壇頂いたのは、玩具メーカー大手「タカラ」の元代表取締役社長である佐藤博久氏。「チョロQ」や「トランスフォーマー」といったヒット商品を手掛け、同社退任後はデジタルの世界へその舵を切り、現在は投資家、コンサルタント、大学教授といった多種多様なフィールドで活躍されている。
そんな氏に講演のテーマとして挙げて頂いたEコマース。その成長度合い、スピード、規模からして、まさに現代における産業革命といえるであろうこのビジネスモデルは、果たしてどのようなものなのか。
Eコマースの事例を分析して頂きながら、次代へのメッセージ、ナレッジ&ノウハウをお伝え頂いた。
第2回「最新Eコマースの実例1. 23歳女性が立ち上げた女性向け下着・水着サイト」
さて、今回から最新のEコマースサイトの事例を挙げていきたいと思う。ビジネスモデルとしての認知は既に済んでいるといえるほど普及しているEコマース。個人的にビジネスとしては開拓され尽くされた感があるのだが、実際はどうなのだろうか。
「まず1つ目の事例として、下着と水着のECサイトキララの例を挙げます。知り合いの方から大学中退した女の子が楽天で女性向け下着と水着を販売するサイトを構築したのだが、ことのほかうまくいって法人化したいので手伝ってほしいといわれ、このサイトの運営者である23歳の女の子と出会いました。当初私はイタリア製の高級ブランドを扱うサイトなのかな、そんなふうに考えましたが、商品は中国製とのことでした。ではここで皆さんに質問しますが、このサイトの1週間の売上はいくらだったと思いますか?」
どんなものなのか見当もつかない。1週間でせいぜい30万くらいなのだろうか。氏も当初そんなものだったという。それでも個人で始めたビジネスで年商1500万である。立派で大変な数字である。しかし答えはあまりにもその想像を凌駕するものだった。
「答えはなんと1500万円です。
想像できましたか?私が今までいろんな方と話し、答えてくれた方の中では100万円という答えが最高額でした。年商は単純計算すれば7億5千万ですね。
ここに実はEコマースの大きなヒントがあると思うわけです。
私もタカラの後にEコマース業界へ移ってきましたが、Eコマースの隆盛の中で、個人に向けたビジネスチャンスはないと思っていましたし、実際に聞いたこともなかった。皆さんもEコマースで成功している企業のことに関してあまり聞いたことがないと思うのです。
しかし分析してみると実はそれが大きな間違いであり、Eコマースの場合「目立たない」ことが大きなチャンスであるといえることに気付きました。
これがリアル店舗であればメディアが取り上げますし、その結果競合が同じような商品を出すことになり結果として価格競争に入らざるを得ない。私もタカラでヒット商品もいくつか出しましたが、その中でメディアに取り上げられた結果競争が非常に激しくなることを実感しました。その意味においてEコマースは『目立たない』ということにチャンスがあるのです。
またこの事例で分かったことの二つ目として『女性による女性むけのサービス』にチャンスがあるということです。
その意味において今も以前も非常に厳しいといわれてきた4年制女子大学生の生き方に関して、新たな方向性を指し示すヒントであると思うのです。
大学が行っている画一的な就職指導の為、どの企業も10人中上位3名のみを採用し、残り4位から10位の学生さんは殆ど落ちてしまうというのが現状なのですね。これは大学側のミスリードであるわけですが、こう考えると、Eコマースは一定の条件を満たす女性にとってはチャンスのある業界であると思うわけです。次回はこのような女性向けサービスの事例において、驚くべき結果を残しているEコマースの事例をさらにお伝えしていきながら、分析していきたいと思います。」
正直大学中退の女性が1週間で1500万売るサイトを作る事実。これがEコマースの実態であることに驚きを隠せない。
大手はもちろん、中小も競って商品を出し、膨大な数の商店が立ち並ぶウェブという市場の中で、まだまだチャンスがあると語る氏の言葉には、冷静にそのナレッジを分析した結果が表れていた。
目立たないこと、そして女性が女性向けに売るEコマースサイトに多くの成功例があること。
次回はこの分析に基づいて発見された、さらに驚愕のEコマースの実態をお話し頂こうと思う。
(第3回に続く)
敬称略 取材・執筆 柳澤史樹
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