元株式会社タカラ 代表取締役社長 佐藤博久氏 第3回 「最新Eコマースの事例2.女性向けアダルト・グッズ販売サイトほか」(全4回) 

By fumiki.yanagisawa@jidainokai.jp • 8月 13th, 2010

今回次代の会へご登壇頂いたのは、玩具メーカー大手「タカラ」の元代表取締役社長である佐藤博久氏。「チョロQ」や「トランスフォーマー」といったヒット商品を手掛け、同社退任後はデジタルの世界へその舵を切り、現在は投資家、コンサルタント、大学教授といった多種多様なフィールドで活躍されている。
そんな氏に講演のテーマとして挙げて頂いたEコマース。その成長度合い、スピード、規模からして、まさに現代における産業革命といえるであろうこのビジネスモデルは、果たしてどのようなものなのか。Eコマースの事例を分析して頂きながら、次代へのメッセージ、ナレッジ&ノウハウをお伝え頂いた。

第3回「最新Eコマースの実例2.女性むけアダルト・グッズ販売サイトほか」
前回氏がEコマースの事例として、大学を中退して中国から下着と水着を販売するECサイトで、1週間でなんと1500万という驚異の数字を叩き出した事例をご紹介頂いた。今回はそれに続きさらに驚きの事実が明らかになる。

「事例の2つ目は『女性向けのアダルトグッズ販売サイト』です。前回と同様、これは月間いくら売り上げるかご存じの方いらっしゃいますか?
ちなみに私は5年前の12月このサイトの競合である男性向けアダルトグッズの会社社長にコンサルテーションを依頼され、調査をしたのですが、この事実に愕然としました。その売り上げはなんと月間5億でした。

この数字は12月という特別な月のものでしたが、その売上の中で最も売れた商品はなんと『レトルトの鍋セット』だったのです。それはなぜか。クリスマスに初めて彼氏の家で過ごす時に女の子が準備するという触れ込みだったのです。サイトをご覧になると分かりますが、一見外見は女性の体験と悩みの相談サイトになっているのです。しかしウェブの特性上どこまでも階層を深くすることで、無限に商品を陳列できるという特徴があるのですね。マニアックな商品情報が欲しい人にはちゃんと階層を辿って行った先にそのような商品が手に入るようになっているわけで、そこが実店舗と異なる大きな特徴です。このサイト、今では平月に5億を売り上げるモンスターサイトとなっています。

ちなみに秋葉原の駅前に、5階建ての男性向けのアダルトグッズのビルがありますが、そこでも月間売上は8000万円であり、またアマゾンの中で『ビューティーアンドヘルス』で最も売れている商品はアダルト・グッズという事実も調査の上判明しました。これは前回もお伝えしましたが、いかにネットの中で『目立たないこと』による成功事例が埋もれているかという良例ですね。」

まさに驚きの連続である。いかにECサイトによるチャンスがどれだけ大きなものなのかを改めて認識する事実だが、氏はあくまでも冷静にこの事例を分析してこう述べた。

「このように女性が女性に向けたビジネスモデルにはまだ大きなチャンスが埋もれているわけですが、そのことを認識した我々に今度はチャンスが出てきます。そのような女性を見つければいいわけですからね。但しここには3つの条件が必要です。
それはまずパソコンのスキルがあること。それは絶対です。2つ目は『キャラクターが立っている』こと。これはリアルでなくてもウェブ上でキャラクターが立っていればよいわけで、極端な話美人でない場合はどこかの写真を使ってもいいわけです。
3つ目は、非常に特定で狭いカテゴリに精通しているということ。そのカテゴリは狭ければ狭いほどチャンスがありますね。 ただ実際この3つの条件を兼ね備えた女性はそんなにいないのが事実です。」

聞いてみたところ、前述の水着のサイトにもウェブに精通している男性のパートナーがいたという。まさにそのような女性を発見し、ビジネス構築をサポートするというところに男性のチャンスがあるという分析に、会場に集う男性陣より思わず感嘆の溜息が洩れる。さらに氏はネット上で成功しているEコマースの事例を惜しげもなく来場者に教えてくれた。

「 そして最後は、私が以前在籍したMTIのときに立ち上げた『ルナルナ』。これは女性の生理日を知らせてくれる携帯サイトで、月180円で250万人の会員がいますので、おおよそ月5億円のビジネスです。この事実、男性がどれだけ知っているでしょうか。また周りの女性に、このサイトに登録しているかどうか、またどんな内容のサイトなのかと聞いてどれだけの女性が答えてくれるでしょうか。答えはいわずもがなですね。これもネットの中での『盲点』をついたビジネスモデルが可能にした成功例なのです。」

 氏が挙げてくれた事例の数々。にわかに信じがたいビジネスの成功例がそれこそ枚挙にいとまがないほどあることに、会場の空気はどよめきの連続に近い空気が蔓延していたように感じる。しかしあくまでもそこはビジネス。Eコマースという特徴ある切り口以外に、実業のビジネスナレッジは必ず存在するはずである。次回の最終回では、氏の経験から培ってきたビジネスセンスによる分析と教訓をご教示頂こう。

(第3回に続く)

敬称略 取材・執筆 柳澤史樹

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