SAMURAISHIP.com 代表 公認会計士出縄良人氏 第3回「海外への情報開示システム」 (全4回)

By fumiki.yanagisawa@jidainokai.jp • 7月 22nd, 2011

海外、特にアジアでは「Japan」のブランドが高く評価されている。出縄氏はこのように分析し、日本企業の海外向け情報発信ポータルサイトSAMURAISHIP.COM (http://www.samuraiship.com/) で日本企業の海外進出を後押しするビジネスを進めている。氏は現在の日本の現状は「鎖国」であると指摘する。グローバル時代と謳われて久しいが、実際のところ「鎖国」とはどういった現状なのだろうか。氏の分析を併せ語って頂いた。

第3回「海外への情報開示システム」

「日本企業は全般的に『出不精』であるとは前回もお話ししたとおりです。それは上場企業であっても例外ではありません。現在日本には3,700社ほどの上場企業がありますが、その中で英語のIRを行っている会社は約600社、英文アニュアルレポートまでしっかりと作成している会社は300社程度しかありません。このほとんどは一部上場企業。新興市場にいたっては、その数は極めて少ないというのが現状です。

しかしこれでも問題はないんです。なぜかといえば上場企業といっても、お客様もお取引先も株主も社員も全員日本人、という会社が圧倒的に多いんですね。大手商社では、海外勤務経験のない社員を「まるドメ」(まるでドメスティック)と呼んでいるようですが、日本の上場企業の多くは「まるドメ」なんです。これが今の日本の現状を物語っています。」

「これでは香港やシンガポールの証券市場に勝てるわけない!」と金融庁には良く話しをしたものですが、実は、海外投資家は困っているわけではない。というのは、実は東京証券取引所の取引高の9割が上位200社くらいで占められているんです。その200社さえ英文による情報開示をしていれば問題がない。「まるドメ」の会社は海外投資家に投資をしてもらうニーズがないし、海外投資家は「まるドメ」の上場企業に関心がない。したがって英文情報開示にはニーズがなかったというわけです。

しかし、今、業績を伸ばしている上場会社は、皆、海外で儲けている。特にアジアです。どちらかというと「まるドメ」の会社は厳しい経営を強いられている。それは国内マーケットがあらゆる産業で頭打ちだからです。したがって、海外進出が必要。そのためには海外パートナーづくりが不可欠。そして海外パートナーをつくるためには英文情報開示が必要ということです。

高い「JAPAN」のブランド力に支えられ、日本企業とパートナーシップを築きたいアジア企業はたくさんあるのですが、彼らにとって、日本企業のどこと組んで良いかわからない。というよりも日本企業の情報がなさすぎるということです。そこで私が考えたのがSAMURAISHIP.COM。日本に関心をもつ海外企業と海外投資家が集まってくる仕組みをつくり、そこに日本企業が情報発信することで、最適なパートナーを発掘する場づくりです。

そこで、まずは、現在、英文開示をしている上場会社のポータルサイトからスタートです。実は英文開示をしている会社についても、海外から検索ができない。英語の検索エンジンにひっかかってこないんですね。日本の上場会社でも適切な英語のキーワードで探せないというのが現状です。SAMURAISHIP.COMの基本機能は英文による日本企業の情報のポータルサイトとして、充実した検索機能です。

海外のユーザーは、無料のメールメンバーとして登録いただくと、日本企業と海外企業との提携やM&Aという情報にフォーカスしたニュースが英文で配信されてきます。まだ仮オープンの段階なので、登録している上場企業は162社ですが、今後、300社まで登録企業を増やしたところで、正式オープンの予定です。300社のアニュアルレポートがリンクされているということになりますと、日本企業の海外向け情報発信ポータルサイトとして日本一。ということは、すなわち世界一ということになる予定です。」

話しを聞くとなるほどと思わされる。ビッグビジネスの仕組みとして「ありそうでなかったもの」という要素があると私は考えることがあるが、SAMURAIAHIPは、その要素を十分に兼ね備えたビジネスモデルであると感じる。

氏は、次に、SAMURAISHIPにて海外から投資を募る仕組みについて説明を始めた。

「SAMURAISHIPは海外パートナーの開拓を目的としているので、必ずしも投資を募ることが目的ではありません。ただ資本提携型のパートナーシップの形としては、日本企業の海外企業への資本参加、共同出資会社の設立に加えて、海外企業の日本企業への資本参加の3つのパターンが考えられますよね。

投資は一般に、金融投資または事業投資の分類と公募型または私募型の投資の分類のマトリクスで考えることができます。これまでの証券市場での投資の多くは金融投資で公募型、資本提携型の投資は事業投資で私募型。VCファンドの投資などは金融投資で私募型です。これに対して、私がディー・ブレイン証券を通じて、グリーンシートで行ってきたのは、事業投資で公募型と言えましょう。

SAMURAIHIPで投資を募る場合は、海外の事業投資を公募する形に近い。しかし実際にはパートナーを選別しますので、結果としては私募になります。ロンドン証券取引所のAIM市場やシンガポール証券取引所のカタリスト市場などは、この形に近く、SAMURAISHIPは海外上場と同じ効果が国内にいながらに得られてしまうということかもしれません。」

このように投資の性格を解り易く説明した出縄氏。続いて、未上場企業がSAMURAISHIPに登録して、海外とのアライアンスを構築するステップについて話しを進めた。

「未上場企業がSAMURAISHIPに登録いただく場合には2つの区分を用意しています。

1つは上場会社と同じMainの区分。もう1つはSME区分。SMEはスモールミディアムエンタープライズの略です。

Main でもSMEでも、中小企業を英文で海外に紹介することに違いはありませんが、MAINの場合は、上場会社と同等の英文開示を行うことが異なります。したがって公認会計士監査なども要求することになります。いずれの場合も、当社(出縄&カンパニー)では、SAMURAISHIP登録にあたって、海外企業にとってパートナーシップを締結することに魅力を感じるか否かをポイントとした審査を行います。審査に先立って、海外進出を前提とした企業の成長シナリオを描くとともに、それを事業計画としてどのように情報開示を行うかの指導も行います。

アジアでの事業提携先として想定するのは、アジア各国の証券市場に上場する上場会社です。これらの会社はやはり開示が行われていて、日本企業にとって安心感があります。また彼らにとってSAMURAISHIPは魅力があって信頼できる日本企業が集まっていることが重要なのです。

個人投資家の投機的投資が中心の日本の新興市場とは異なり、資本参加を目的に事業に投資をする海外の企業や海外の投資家にとって、SAMURAIHSIPはスタンダードなモデルです。海外では当たり前でありながら日本企業にフォーカスしたものとしては存在しなかったサービス。一方、日本企業にとっては斬新なサービスと思います。」

グローバルスタンダードに基づいた戦略で練られたSAMURAISHIPのビジネスモデルとサービス。最終回に向けてその特徴を今一度検証し、これからの日本企業が目指すべきグローバル化を考えてみたいと思う。

SAMURAISHIP.COM  http://www.samuraiship.com/

(取材・執筆 柳澤 史樹)

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