第34回次代の会 元タカラ株式会社代表取締役社長 佐藤博久氏 第3回「FREEにおける6つの概念」(全4回)

By fumiki.yanagisawa@jidainokai.jp • 9月 30th, 2011

第3回「FREEにおける6つの概念」

第34回次代の会玩具メーカー大手「タカラ」の元代表取締役社長である佐藤博久氏による「FREE<無料>は、さらに、全ての業界の全てのステージへ」も第3回に入った。FREE(無料)戦略がビジネスにとって究極の正常進化であると分析する氏は、その傾向を6つのカテゴリーに分類して検証し、我々に分かりやすく例をもって提示してくれた。


「このように仕分けをしてみると、『FREE』について日本人が書いた『アンサー本』のとらえ方が間違っているということもお分かりになると思いますし、私がいっていることがどの点をさしているかが分かると思います。では順を追ってFreeの6つに分けた分類を解説していきましょう。

まず最初に認識いただきたいのはFree が潮流になってきた現代において、古典的なマーケティング手法として存在している『いいものだから売れる』という幻想は、非常に危険だということを認識する必要があるということです。

これは初年度70億円をたたき出したにも関わらず1年半で破たんした『サンプルラボ』がいい例です。実はサンプルラボが出る前に全く同じ企画を考えたことがあったのですが、『良い商品を知ってもらえれば商品が売れる』という時代ではなくなっています。サンプルラボにしても商品が悪いから売れなかったわけではなく、お客さんが『良い商品だ』と思うことと、お客さんが『買う』と言う行動を起こすことの間には、企業が思うよりももっと大きなギャップがあるのだということです。

このように1つめは、昔からある「試してもらえば、よい商品と分かってもらえて、買ってもらえるんじゃないか」と楽観的に考えてする『FREE』です。

2つめは『コストを分散、迂回して見えなくしている』という手法。 最初の回にお話しした『焼酎タダの店』の例に象徴されるケースです。焼酎のみならずタバコも無料。そのかわりつまみを2品(780円程度)頼んでください、というしばり・条件があるわけです。経験に基づくと、焼酎1敗の単価は50~60円、そしてお客さんが飲むのが5~6杯だとのことで、であれば利益としておよそ半分がのこるわけで、元が取れているのですね。だからこの店ではタバコもタダなのです。

その他のバリエーションとして、テレビの放映に典型的に見られる『FREE』もあります。直接の受益者である視聴者からはお金は取りませんが、代わりにスポンサーがその分を肩代わりしてくれています。あれだけ出演者に協賛企業が高いお金を払っていて一切私達はお金を払うわけじゃないですからね。

3つめがデジタル世界ならではの『フリーミアム』と定義されている考え方です。それは『原価は限りなくタダに近づいてい くデジタルビジネスのモデル の中では、どんどんタダにして配ったほうがいいじゃないか』という考え方ですね。それは全てに値段を付けたマイクロソフトと、タダだったグーグルを比べ、 どちらが勝ったのかは見るまでもないという事実に象徴されていると思います。

これはそこで終わる話しではなく、リアルビジネスをやっている人たちこそその概念を取り入れていくことこそチャンスがあるのではないかということを考えています。

元タカラ株式会社代表取締役社長 佐藤博久氏。1年ぶりのご登壇だが

元タカラ株式会社代表取締役社長 佐藤博久氏

上記1~3の考えを統合したうえで、4つめは、リアルビジネスの中にある『FREE』です。これを成功させるカギは『ホームページ』の活用にあるのではないかと思います。ホームページの使い方を見てみると、単なる会社案内のデジタル版か、ただ単に別の流通のルートを求めてECサイトを出店がほとんどです。

これはともするとウェブ至上主義でウェブを中心にビジネスを考えるようになってしまい、ウェブの世界を通じてリアルビジネスを考えることになってしまいます。しかし、成功の要因としては、逆の発想で、リアルビジネスの人がしっかり勉強し、自分たちが中心になってホームページ作りを進めていくことが大事なのだ、と感じています。

ポイントは、単なる情報発信媒体としてのホームページではなく、『お得意さんを作るうえでうホームページをつくっていくことが必要不可欠だ』ということではないでしょうか。私が以前タカラにいたころ、子供達を『消費者』として考えていました。彼らが欲しいものを見つけた場合でも、自分ではお小遣いを持っていても、自分では買わずに翌日おじいちゃん、おばあちゃんにねだって買ってもらうことが賢い消費者だと知っています。

今の時代にはもう消費者はいない!と言うことではないでしょうか?これからは良い商品だから買ってくれる消費者ではなく、商品以外の何かを認めてくれたお得意さん、もしくは『ファン』しか、お金を落とくれないということなのです。

今までは、商品を通して、お客さんが勝手にファンになっているだけでした。ですから、勝手に離れていくということでもあるわけです。商品を通してだけの浅い関係ではない、濃いファンをしっかりつかむことができるウェブこそ、これを活用するべきです。商品の価値を越えて応援するファンの存在がそのビジネスを支えるという構造を作り上げることが大切だと思います。

その意味においても皆さんの周りにも多くのホームページがあるかと思いますが、それが今どこに位置づけされていて、どう活かされているかということを見直す必要があり、これからのFREE時代を生き抜くカギがあるのではないかと思います。」

氏が分析するFREEにおける6つの考え方の前半は、このように解説されながら進んでいった。

これからの時代を生き抜いていく上で重要な示唆を含んだ6つの考えは、前半のまとめとして企業や団体のもつ「ホームページ」の重要性と可能性について再認識する必要があるということであった。

しかし、氏が「ウェブ」という言葉でなく「ホームページ」という言葉をあえて使ったのにはしっかりとした根拠があったからなのである。次回の最終回では、この6つの概念と、それらの総括である新たに氏が加えた7つ目の考察に踏み込んで、お話しを伺ってみたいと思う。

(最終回に続く)

敬称略 取材・執筆 柳澤史樹

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